セミナーとハウステンボスと住環境

80年代の話です

戦後の高度成長期を通して
最新の技術で均質な空間を作ることこそが
正義とばかりに動いていた時代がありました

その最先端を走られていた
日本設計の池田武邦先生は
ある冬の日に仕事場である高層ビルから
外に出た時に雪が降っていて
「はっ!」としたらしいです

人工的に機械的にコントロールした
環境で年中快適に過ごせることが
いいと思っていたのに、
この冬の日に雪が降っていたことも
気づかなかったことに衝撃を受けたそうです

そのことがきっかけでイケイケドンドンな
バブル真っ只中にこれからの建築や
都市の在り方に異を唱え、21世紀の
環境のあり方を提示されました。


その一つが、長崎にあるハウステンボスです

ハウステンボスといえば一時期経営が
危ぶまれたりしていましたが、
街などは一世紀ほど経たないと
その評価はできません

でもきっと試金石として
大きな意義ある一歩だったと思います

さてさて、おかしなことに
今頃、今更ながら日本の住宅は
人工環境を突き進もうとしています

断熱気密をあげて室内環境を
機械的にコントロールしてと

果たして、80年代に最先端建築界で
大きな壁にぶつかったにも関わらず、
「右へ倣え」をしていいのでしょうか?

素直に長崎の気候に
合っているとはいえません

もちろん断熱気密はエネルギーロスの観点から大切です

でもシムコノイエはそこに
狂信的ではありません

せめて呼吸する室内環境が答え

もちろん断熱気密をあげる仕事をします

しかし、絶対にそれが絶対とは思いません

古い家には古い家の物差しがあります
その良さをハイブリッドで活かすこともあります

機械的にコントロールする中にも、
より自然に近い形をとシムコノイエは考え
自然素材で仕上げるカタチを大切にしています

せめてちゃんと呼吸して、
湿気がある時は床や壁が湿気を吸収して、
乾燥している時には水分を放出してくれて
調整してくれる優れもの

昔から日本で使われていた木材や漆喰たち

数千年の実績がある素材だからこそ
今もまだ使われています

最後に残るのは、
工場で大量生産された材料ではなく
そんな自然の素材しか持続可能にはなりませんしね

今日のセミナーで改めて思いました

さて、今日は雨でしたが
シムコノイエのスタジオはカラッとして
肌触りもサラサラしていました

今日はセミナーをしながら
改めてそんなことをしゃべりつつ
せっかくなのでここでシェアしたいと思います

長崎は環境にも縁のある土地柄です
素敵な暮らしがもっと長崎から
広まっていきますように


良い1日をお過ごしください