黒い柱が、地面から立ち上がっている。
まだ建物はない。
屋根も、壁も、暮らしの気配もない。
けれど、この場所には
すでに「向き」が生まれている。
柱は重さを受け止めるためのものだが、
同時に、未来の生活を受け止める準備でもある。
設計とは、形をつくることではなく、
先に重さを決めることなのかもしれない。
人が住むとき、
床や天井の前に、
まず安心の重さが必要になる。
今日は、その準備の日。

まだ何もない。
でも、ここから始まっている。
建築は、完成してから始まるのではない。支える準備から始まる。

